解雇にひそむ法的リスク

解雇は会社からの一方的な措置であるため、解雇される従業員の感情的な反発を招きやすく、結果として、訴訟を含めたトラブルに発生する可能性が高いと考えられます。

では、従業員から訴訟を起こされたとき、会社は勝てるのでしょうか。事案にもよりますが、解雇無効とする判例も多々あり、確実な結果を予想するのはなかなか難しいところです。

解雇に踏み切って、万一敗訴した場合に会社に生じうるリスクについて、ご説明します。

解雇の法的リスク

解雇した従業員から争われた場合のリスクには、大きく分けて次のようなものがあります。

  1. 解雇無効の判決になった場合、バックペイ(遡っての賃金支払い)を命じられる
  2. その後も従業員として復職を認めなければならない
  3. バックペイのほか、損害賠償請求をされる可能性もある
  4. 仮に解雇が認められたとしても、解決まで費用・時間・労力(心労も含め)がかかる

それぞれについて、詳しくご説明していきます。

バックペイ(解雇期間中の賃金)とは?

解雇された従業員が、その解雇に不満を持ち、解雇が無効だと争う場合は、訴訟(労働契約上の地位確認訴訟)等をすることになります。

もし、裁判所に解雇が無効と判断されると、解雇日以降の賃金(と、遅延損害金)の支払いをしなければならなくなります。仮に解雇から判決までに2年間かかったとすると、2年分の賃金を支払わなければなりません。

解雇を争う訴訟で、絶対勝てる、と断言できるようなケースはかなり限られていると思います。そうすると、万一のことを考えると、安易に解雇に踏み切るのは、かなり大きなリスクではないか、と考えます。

解雇無効=雇用契約は続いていることに

解雇が無効ということは、労働契約は有効に終了していない、言い換えれば、引き続きその従業員との間で雇用契約が継続することになります。

感情的には、会社に訴訟を起こすような従業員とは契約なんかしない!などと思われるでしょうが、法的にはその理屈はまったく通用しません。

高額な解決金を得た上で退職するケースも少なからずありますが、もし仮に復職を希望するであれば、会社としてはそれを認めなければなりません。訴訟で争った従業員が復職するというのは、職場としてもあまり気持ちのいいものではないと思います。

バックペイに加えて、損害賠償請求されることも

解雇が無効とされたからと言って、必ずしも損害賠償請求が認められる訳ではありません。バックペイの支払いをもって、解雇された従業員の損害は補てんされた(別途、損害賠償をする必要は無い)と判断した裁判例もあります。

一方で、解雇理由が全くないのに解雇したり、解雇の事実を社内・社外と公表して名誉棄損したような場合には、損害賠償が認められた例もあります。

解決までに係る費用、時間、心労

解雇された従業員が争ってきた場合、会社としても弁護士に解決を依頼することがほとんどです。

弁護士費用は、訴訟等に勝っても負けてもかかるもの。着手金~成功報酬まで、相当の金額がかかります。

またそれ以上に、最終的な解決するまでに1~2年かかることも。その間、こうしたトラブルのことはどうしても頭の中から離れず、目の前の本業に集中できなくなる、何かの折にふと気になる、枕を高くして眠れない、などという社長様の感想は本当によくお聞きします。

解雇よりも合意退職がおすすめ

代表社労士の猪狩です。
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以上のとおり、安易に解雇すると、後で思わぬ高額は支払いや、大きな心の負担を抱えることにもなりかねません。

当事務所では、基本的には一方的な解雇ではなく、退職勧奨や合意退職による解決をお勧めしています。経営上のリスクが圧倒的に少ないからです。合意退職に至るまでの進め方などは別の記事でお伝えします。下記の記事もあわせてお読みください。

また、退職に関する問題を解決するには、御社の就業規則や雇用契約、退職させたいと思うに至るまでの経緯を、十分に把握する必要があります。顧問先であれば、常日頃から情報交換やお打合せをさせていただいているので、対応もスムーズです。